防疫段階とは、北朝鮮で8月に制定された「非常防疫法」によるもので、伝染病の伝播速度や危険性によって、「1級・特級・超特級」と3段階に区分されている。今回の超特級は最高レベルの警戒度である。

 同法において、超特級防疫段階では「地上・海上・空中のすべての国境を封鎖し、集会や学業を中止するほか、国内の該当地域を完全に封鎖する」と規定されており、行動や物流が制限される。

 同法制定前の7月、韓国から開城に戻った元脱北者に新型コロナ感染の疑いがあるとして開城を完全封鎖し、一時的に防疫上の「国家最大非常体制」に移行した。超特級防疫段階はこれと同じか、それ以上の警戒水準と考えられる。

 「感染者なし」としながら最高レベルの警戒体制をとったのは、海外での感染者増大を警戒したもの、あるいは国内で何らかの緊迫した事情が発生したものとみられるが、詳細は不明である。
 

金正恩委員長「人民1人ひとりの生命は何より大切」

金正恩委員長「人民1人ひとりの生命は何より大切」

12月29日政治局会議に出席した金正恩委員長(提供「コリアメディア」)

 さて、北朝鮮の非常防疫法では、非常防疫体制の解除条件が定められている。

 具体的には、「伝染病が他の国や地域から国内に入り込む可能性が完全になくなった場合」、「伝染病が入り込んでも十分に対処できるようになった場合」、「国内で発生した伝染病が人民の生命と安全におよぼす危険が完全に払拭された場合」には非常防疫体制を解除するものとしている。

 世界各国における感染状況を考えると、この条件を満たすのは難しい。北朝鮮が非常防疫体制を解除するのは当分先のことになるだろう。

 12月29日に開催された政治局会議で、「2021年1月初旬の第8回党大会開催」が正式に決定した。この党大会で外交政策や国内経済などに関する重大方針が決定するとみられるが、しばらくは非常防疫体制があらゆる政策の前提となると言える。

 12月30日付の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』によると、金正恩委員長は「わが党(朝鮮労働党)にとって、人民1人ひとりの生命は何より大切。全人民が健在で健康であってこそ、党もあり、国家もあり、この地のすべてがともにある」と述べ、改めて非常防疫活動に総力を集中する方針を示したとのことである。

 その言葉通りなら、経済をある程度犠牲にしてでも現在の非常防疫体制を継続していくとみられる。

八島 有佑

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