元徴用公訴訟で原告の請求を却下

元徴用公訴訟で原告の請求を却下

ソウル中央地裁 出典 Wiselaw70 [Public domain], via Wikimedia Commons

元徴用公訴訟で原告の請求を却下

 旧朝鮮半島出身労働者問題(いわゆる元徴用公問題)を巡ってソウル中央地裁は6月7日、賠償請求する権利は1965年の日韓請求権協定により制限されているとし、原告の請求を却下する判決を言い渡した。訴訟要件を満たしていないとして提訴の権利を認めなかったのである。

 元徴用公やその遺族85人が新日鉄住金(現日本製鉄)や三菱重工業など日本企業16社に賠償を求めていた。同訴訟は韓国で元徴用公訴訟として提訴された訴訟のうち最も規模が大きい。

 韓国・聯合ニュースなどは「敗訴した原告側は控訴する考えを示している」と伝えている。

2018年大法院判決では真逆の主張

 実は2018年10月の韓国大法院(最高裁に相当)は今回と真逆の判決を出していた。このとき大法院は、強制動員に対する賠償請求権は、日韓請求権協定の適用対象に含まれていないとして、新日鉄住金(現日本製鉄)に対し韓国人4人に対し1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じたのである。

 日韓請求権協定は1965年に締結された合意で、日韓の請求権問題を「完全かつ最終的に解決」することを確認した規定を置いており、同協定を取り扱うかが争点となっていた。

 日本政府は同協定で「すべて解決済み」という認識から2018年大法院判決に反発したものの、同判決は確定。これが日本企業に賠償を認めた初めての判決となり、その後、同種訴訟で日本企業の敗訴が相次ぐこととなった。

 2018年の大法院判決は日韓関係悪化の一因になったと言える。

一転して日本政府の主張を認めた地裁判決

 だが今回ソウル中央地裁は日韓請求権協定の取り扱いを巡り一転して真逆の判断を下したのである。

 地裁は、「韓国の国民が日本や日本国民に対して持つ個人請求権は韓日請求権協定によって消滅、放棄されたものではない」とした上で、「訴訟で同権利を行使することは制限される」との判断を示している。つまり、個人の請求権が完全に消滅したとは言えないが、日本政府や日本の国民を相手に訴訟で権利を行使することは制限されるという論理だ。

 まだ判決は確定していないものの、元徴用公訴訟の中で一転して日本政府の「日韓請求権協定で解決済み」という立場を認めたことは非常に大きな変化である。

 今回の判決によりすでに確定した別の判決に基づく日本企業の資産売却の動きにも影響が出る可能性がある。

元慰安婦訴訟でも同種訴訟で判断が分かれる

 実は元慰安婦関連の訴訟でも今年1月と4月で判決に差が出ていた。

 ソウル中央地裁は1月8日の判決では日本政府に賠償を命じたが、4月21日の同種訴訟では日本政府の主張通り「国家には他国の裁判権が及ばない」とする国際法上の主権免除を認めて原告(元慰安婦側)が敗訴となっていた。

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