会談後、設立計画は迅速に進められ、過去に南北交流協力協議事務所だった建物(4階建て)を改修して事務所が開設された。

 韓国メディア『中央日報』(6月16日付)によると、2018年から2020年5月までの3年間で、「建設費と運営費などとして総額168億8300万ウォン(日本円で約14億9000万円)が投入された」(韓国側が建設費を全額負担)とのことである。

 南北共同連絡事務所の2階には韓国側職員、4階には北朝鮮側職員が常駐することで、常に対面での意思疎通が可能となったことは非常に大きな成果である。

 実務者会議などが南北共同連絡事務所で行われることが多くなり、まさしく南北交流の拠点としての役割を果たすことになった。

 2019年2月にベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談が物別れに終わって以降、毎週金曜日に開催される南北の所長会議が途絶えるといった不穏動向も伝えられたが、それでも事務所の運営は続いていた。

 また、今年1月には新型コロナウイルス感染拡大の影響で韓国側の職員全員が韓国に戻っているが、その後も直通電話での連絡が継続されていた。
 

南北共同連絡事務所破壊が韓国に与える深刻なメッセージ

南北共同連絡事務所破壊が韓国に与える深刻なメッセージ

南北交流の象徴であった「南北共同連絡事務所」が爆破(提供「コリアメディア」)

南北共同連絡事務所破壊が韓国に与える深刻なメッセージ

 南北交流の重要拠点であった南北共同連絡事務所の爆破したことは、韓国政府にとって深刻なメッセージとなった。

 北朝鮮側は昨年から、韓国が米韓合同軍事演習を実施することや、米国の対北方針に配慮して南北事業を進めようとしない姿勢を「板門店宣言の精神に背く」として非難を重ねてきたが、今回の事務所爆破はそれら非難声明とは一線を画している。

 南北共同連絡事務所は、いわば文在寅大統領が進めてきた半島政策の1つの成果であり、それを破壊することは文在寅政権にとって大きなダメージとなることを北朝鮮側もよく理解しているはずだからだ。

 北朝鮮としても南北対話を閉じることにはデメリットもあるはずだが、それでもなお今回、決行に踏み切った背景には、「現状の南北関係ではだめだ」という強い危機意識があったのではないだろうか。

 北朝鮮側からすれば、「南北間の合意ではビラ散布を含むすべての敵対行為を禁止している」(6月17日付『労働新聞』)と主張しているとおり、板門店宣言などの合意事項を守っていないのは韓国なのである。

 6月11日発表の金与正談話では「役に立たない北南共同連絡事務所」と言及しているが、これも「板門店宣言の合意事項が守られないなら連絡事務所なんかあっても意味がない」というメッセージとも考えられる。

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